校長ブログ「ざらりとした感触をその手の内に」

 先日、ある著名なYou Tuberの方のインタビューがインターネットに掲載されていました。その中で、その方は、「次の世代に伝えたいことは?」という問いに対し、「何でもネットで見ることのできる時代だからこそ、直接見て、体験することを大切にしてほしい」と答えていました。私は軽い驚きを覚えました。インターネットの世界で生計を立てている方の言葉としては意外だったからです。しかし、すぐに、なるほどとも思いました。

 前々回のこのブログで野球応援と球技大会について触れました。どちらも生徒の皆さんの心の中に感動が生まれたのではないかと思いますが、それは、その方が言うような「直接見て、体験する」出来事だったからだと思います。野球場での焼けつくような太陽、カキーンという金属音。選手の雄たけび、スタンドの歓声、メガホンが打ち鳴らされる音。球技大会でも、懸命に食らいついたボールの手触り、味方が点を入れた時の喜びの声、隣の友人とハイタッチした時の感触。それらはテレビやパソコン、スマホの画面の向こうにあるものではなく、現実のものとして間違いなくそこに存在したものでした。それらの、自分の目で見、耳で聞き、体で感じた「もの」は、意識せずとも生徒の皆さんの奥深くに堆積し、やがて発酵し、いつしかそこから何かが芽吹いていくことになるのだと思います。

 今日は立秋です。夏休みも中盤。生徒の皆さんは、勉強、部活動、あるいはボランティアと、様々な活動に取り組んでいることでしょう。それらから得られるであろうさまざまな「ざらりとした感触」を手の内に握りしめ、一回りたくましくなって夏休み明けに元気に登校してくることを楽しみにしています。